daraodarasukeのブログ

理想はアンコウのように替えの効かない存在になることです。

ある日突然無人島に1人置かれたら ②

ある日、妙な感覚に襲われて起き上がり、目を開くとそこは無人島だった。

そして、当然ながら、自分以外の人間はここには存在しない。

全く不可解だけど、どうやら夢ではないらしい。

さて、もしもこんな時、自分だったらどうするか、、、

 

ある日突然無人島に1人置かれたら(①からの続き)

刻々と迫る夜の暗闇に怯える

とりあえず、無人島に突然1人置かれた初日の昼間は、パニックになりながらも状況をひとつひとつ整理し、未開の地の道なき道を通りながら、せめて夜が来る前にこの広くはない島の全体像を把握しようと、島中を歩き回った。

そのおかげで、この島の奥には、そのまますくって飲むことができるくらい透明度の高いきれいな川が流れていて、食べられそうな木の実をつけた木も生えているなど、様々なことが分かった。

 

あとは動物などの存在だが、いくら歩き回っても、ヘビにも遭遇しないし、サルやイノシシなどの大型のものの気配もしない。

実はいるけど警戒して気配を消しているのか、それとも全くいないのか、それは分からない。

ここは小さいながらも独立した島であり、近くに同じような島の存在も確認できないため、もしかしたら成り立ちの都合上、動物などは立ち入ることができなかったのかもしれない。

もしそれが本当なら、少しは安心できる。

ただ、鳥や虫などはちょくちょく見かける。

 

時計など、時間が確認できるものは一切身につけていないので詳細な時間の経過は分からないけれど、しばらく歩いて休んでを3回くらい繰り返しているうちに、空が夕焼けの色に変わってきた。

もう少しであたりは暗闇に包まれる。

 

あぁ、怖い。

 

さっきまで島中を散策していた時は、もちろん突然このような状況に置かれた事実に対しての動揺も続いていたけれど、それと同じくらい様々な発見があって、楽しいというか、おもしろいというか、そういうポジティブな感情も確かに感じることができていたと思う。

 

でも、もうすぐ夜が迫っていることを知った時、気がつくと、頭の中がこれからあたりが暗くなって、静寂に包まれて、ほとんど何も見えなくなってしまうということに対する恐怖心で埋め尽くされていた。

心まで暗闇に包まれていくようだった。

 

心細い。

誰か1人でいいから自分の近くにいてほしい。

不安で落ち着かない。

 

この島に置かれるまでの僕は、どちらかというと、他人から物理的にも精神的にも一定の距離を置くことで、安心感を得て生活していたように思う。

誰かと密接に絡みながら日々を過ごすことには、知られたくない自分の一面や、知りたくない相手の一面を嫌でも見せたり見せられたりすることにつながるので、ものすごく抵抗感があった。

そう、むしろ人嫌いな人間だったのだ。

 

そんな人間が、自分以外誰もいない孤島で、今まで毎日当たり前のようにやってきて日中の活動で傷ついた心を癒やしてくれる、味方であったはずの夜がやってくることに、こんなにも怯えている。

 

それくらい今の僕の心は追い詰められているということなのだろうか。

 

僕をこの無人島に1人置き去りにしたのが誰かは分からないが、もしかしたら僕にこのような恐怖心を味わわせたかったのか。

 

こんな状態で僕はこれから来る夜の時間を乗り越えることができるのだろうか。

 

そんなことを考えているうちに、日はどんどん水平線の彼方へ沈んでいき、みるみるうちに周囲は暗闇に包まれていった。

 

 

続く